建設が進む「フレックスジャパン」の工房(福島県双葉町・2023年2月)
東日本大震災から3月11日で12年。信州の企業が被災地に進出する。千曲市のシャツメーカー「フレックスジャパン」が、この夏、福島県双葉町に工房をオープンさせる。福島第一原発が立地し、2022年、中心部の避難指示が解除されたばかりの町への進出。理由を解くキーワードは「再生」。
【動画で見る】一緒に再生を…福島・双葉町に「工房」 原発事故12年 県内シャツメーカーが進出
■双葉町の復興産業拠点 フレックスジャパンが進出
双葉町の復興産業拠点
福島県双葉町。事故を起こした福島第一原発がある。原発から直線で4キロほどの海沿いに広がる「復興産業拠点」。元々は水田地帯だったが、町が買い取って、企業誘致のために整備した。一部は既に操業中だ。
(記者リポート)
「双葉町が復興の先駆けと位置付けている場所です。すでに20社以上の進出が決まっていて、その中には信州の企業も含まれています」
フレックスジャパン・小山幹人さん
フレックスジャパン・小山幹人さん:
「ここが『ひなた工房双葉』の建設現場になります」
進出するのは長野県千曲市のシャツメーカー「フレックスジャパン」。2021年、町と協定を結び、2023年1月から工房の建設工事が始まっている。
フレックスジャパン・小山幹人さん:
「明るい未来が見える事業に、この双葉町の事業がつながっていますので、売り上げの柱になるような事業にしていきたい」
■ようやく避難指示解除…しかし、戻らない住民も多い
福島第一原子力発電所(2023年2月)
2011年3月11日。巨大地震と津波によって起きた原発事故。双葉町は、町全域が避難指示の対象になり、「全町避難」へ。住民は全国に散らばり、役場機能は埼玉県加須市へ移された。
発生から11年半が経った2022年8月30日、町中心部の避難指示が解除され、住民が住めるようになった。原発事故で被災した市町村の中でも最も遅い解除だった。
被災当時のまま残されている住宅
2月16日―。
(記者リポート)
「双葉駅から数百メートルほど離れた場所です。この辺りも避難指示はすでに解除されているんですが、1階部分がぺしゃんこになってしまった建物など、手つかずのまま残されている建物が多くあります」
地域に残る震災・原発事故の爪痕。
双葉町役場は駅前に移転
その一方で双葉駅周辺では復興公営住宅や診療所ができ、役場も駅前に移転し業務を再開している。
2023年1月には、震災後初めての「だるま市」も開かれ、復興へ向けた歩みは着実に進んでいる。
双葉に戻った住民の一人、松浦トミ子さん(86)。
帰還した住民・松浦トミ子さん:
「自分が生まれたところに来て、お墓が近いところに来たから、それでいいと思って」
いわき市などで生活してきたが、避難指示の解除を受け戻った。自宅は、まだ帰還困難区域にあるため、公営住宅に入った。
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