脱炭素社会に向けて連携協定を結んだ茅野市の今井市長と狛江市の松原市長(左)
茅野市と東京都狛江市は17日、狛江市の二酸化炭素(CO2)排出量を茅野市の森林整備による吸収量で相殺するカーボン・オフセットの実施に向け、連携協定を結んだ。茅野市役所で締結式を行い、今井敦茅野市長と松原俊雄狛江市長が協力関係の発展を誓った。
狛江市は森林環境贈与税を活用し、茅野市に間伐や植林を行う資金として100万円を提供。茅野市は市内の財産区が行う森林整備の資金に充てる。間伐した面積をCO2吸収量で評価する県の認証制度を活用し、狛江市の排出削減量に換算する。
松原市長によると、都内では削減努力をしても減らせない都市部(23区内など)の自治体が、豊かな自然が残る多摩地域の自治体の森林で吸収してもらう連携が進んでいるが、都や県の枠を越えたカーボン・オフセットの連携は珍しいという。狛江市全体の年間排出量は2019年度、19万2000トンだった。
両市の交流は昨年6月に狛江市の職員が内水氾濫対策の視察で茅野市を訪れたのがきっかけ。この際に茅野市の広大な森林に着目し、脱炭素社会実現に向けた連携を茅野市側に提案した。
協定では森林整備と資金提供の関係にとどまらず、狛江市民が茅野市を訪れて自然について理解を深める環境学習の実施も盛り込んだ。
狛江市は世田谷区や調布市、神奈川県川崎市などに隣接する東京のベッドタウンで人口は約8万3000人。面積は6・39平方キロと全国の792市の中で2番目に狭く、人口密度は全国で3番目に高い。首都圏の人口増に伴い、1970年代ごろから農地や森林が宅地造成され、緑地が減少している。
松原市長は締結に先立ち、茅野市の埴原田財産区の森林などを視察。締結式では「茅野市は雄大な自然が広がる素晴らしい地域。環境学習をはじめ、両市が一歩踏み込んだ形で交流を深めていければ」と述べた。
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