くわ入れをするJR東海の金子社長(左)と清水建設の井上社長
リニア中央新幹線の県内の中間駅・長野県駅(仮称)が置かれる長野県飯田市上郷飯沼で22日、安全祈願式と起工式が行われた。JR東海や施工者の清水建設をはじめ関係者約100人が安全無事を祈り、同駅が一翼を担う巨大経済圏の誕生に期待を寄せた。JR東海によると、土木工事の工期は2026年3月末までを予定している。
リニア中央新幹線は東京都から長野県や愛知県などを経由して大阪府に至る計画。東京―大阪間を67分でつなぎ、約7000万人の人口が集中する都市圏を結ぶ。
県内の路線計画は地上区間4.4キロ、トンネル区間48.5キロ。長野県駅は延長約950メートル、ホーム区間の最大幅約40メートル、最大高さ約20メートルの地上駅で、ホーム2面、線路4線がある。中間駅の安全祈願・起工式は神奈川県と岐阜県に続き3件目になる。
安全祈願式では、JR東海の金子慎社長と清水建設の井上和幸社長がくわ入れをし、工事の無事を願った。金子社長は「ここを拠点に広い地域の発展につながると大きく期待されている。これからの工事を環境保全などを順守して安全第一に進めたい」とあいさつした。
来賓の阿部守一知事は「新しい時代に向けての新駅着工をうれしく思う。地域の皆さまの理解と協力なしでは事業が進まないことを改めて理解していただき、多くの声に応えてほしい」とし、周辺地域が将来的なビジョンを共有していくことにも期待。飯田市の佐藤健市長は「新しいライフスタイルや働き方を実現できるリニア時代のまちづくりに思いを新たにしている」と話していた。
式後、金子社長らは報道陣の取材に応じ、開業時期について静岡工区が未着工であることを踏まえて「申し上げられる段階ではない」とした。佐藤市長は企業誘致などの際に開業時期を気にする声があることを挙げて時期が明確になるよう期待をにじませた。
整備区域で移転を決めかねている住民らへの対応に関して、佐藤市長は「これからの生活設計の見通しが立つようにしっかりお話を伺いながら寄り添って考えたい」とし、金子社長は「日本経済を大きく発展させる契機になる意義を理解していただきたい」と話していた。
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