放し飼いのヤギ(長野県小谷村)
意外な鳥獣対策です。長野県小谷村の集落で、ヤギの放し飼いを始めたところ、サルによる農業被害がなくなりました。住民にはそれ以外にも「効果」があるようで、集落ぐるみでヤギをかわいがっています。
【動画で見る】ヤギが山あいの集落の「救世主」に
■サル被害に悩んで…ヤギを放し飼い
小谷村伊折集落
山あいの小さな集落・小谷村伊折。春から秋、集落の斜面などである動物が放し飼いにされています。
伊折の住民・坂井昭十さん:
「下りて来いよ。来い来い」
斜面を下りてきたのはヤギ。
放し飼いのヤギ(長野県小谷村)
伊折の住民・坂井昭十さん:
「クワの葉っぱ好きなんだよ」
住民でつくる伊折農業生産組合が5年前から飼っています。その目的は…
リンゴをとるサル 2016年撮影
伊折農業生産組合・青木剛司副組合長:
「小谷の中でサルが増え始めて『畑の野菜が全滅した』とか被害を聞くようになって、対策をということで入れたのがヤギ」
サルによる農業被害額
収穫前のリンゴをもぎとるサル。こちらは2016年に長野市で撮影された映像です。山間部では畑を荒らされたり果樹を食べられたりと、サルによる農業被害が後を絶たちません。その被害金額は県内で毎年1億円前後に上り、農家を悩ませています。
伊折集落でも10年ほど前からサルの群れが現れるようになり、3段の電気柵を設置するなどの対策をしてきましたが…
伊折農業生産組合・青木剛司副組合長
伊折農業生産組合・青木剛司副組合長:
「(電気柵を)7段張らないとサルは防げないと…」
費用をかけずにサル被害を防ぐ方法を探していたところ、ヤギを飼うと寄り付かなくなると聞き、5年前に飼い始めました。
■サルはどうしてヤギに寄り付かない?
モンキードッグ
サル対策と言えば、「犬猿の仲」を生かし「モンキードッグ」による追い払いが大町や飯田で行われています。
一見、おとなしいヤギ。サルを追い払うことができるのでしょうか?
話・伊折農業生産組合 青木剛司副組合長
伊折農業生産組合・青木剛司副組合長:
「人懐っこい好奇心旺盛な性格で、何か寄ってくると見つめてにらんだりする。その辺が野生動物にとっては嫌な存在なのかなと」
ヤギによるサル被害を研究している滋賀県農業技術振興センターによると、ヤギは好奇心が強く興味を持ったものを見つめ、さらに近寄る習性があり、これがサルの追い払いに有効だということです。
青木さんは2021年10月、実際にその場面を目撃しました。
伊折農業生産組合・青木剛司副組合長:
「サルが木に登っていたりして、ヤギは草食うのをやめてサルの方をハッと見るような。サルは見られると嫌なのか、ワーワー騒いでどこかへ行っちゃいました。予想以上に効果がありまして、ヤギを放牧している間は、獣は下りてこない」
[/MARKOVE]