下馬沢川沿いを進む相本社一之御柱
長野県茅野市高部の相本社御柱祭は28日開き、氏子(区民)ら約200人が集まって一之御柱を曳き、境内に建てた。昨年9月5日に区内を流れる下馬沢川で発生した土石流災害から約1年。河川工事が進む下馬沢川沿いの道も一致団結して力強く曳行し、災害復興への気持ちを新たにした。
新型コロナウイルスの感染状況や警戒感、災害復興に対する考え方などさまざまな思いがある中で準備が進められたが、本番には子どもから高齢者まで幅広い年代の区民が集まった。それぞれに感染対策を取りながら祭りを楽しんでいた。参加した立石順一さん(75)は「昨年の土石流災害後の土砂撤去は親戚やボランティアに手伝ってもらったが、本当に大変な1年だった。それだけにきょうのお祭りができて本当に良かった」と喜んだ。
曳行を行った一之御柱は目通り周囲約160センチ、長さ10メートルのカラマツ。前メドから後メドまでの柱の太さがほとんど変わらないのが特徴で参加者からは「いい柱だね」という声が聞かれた。木やりやラッパの演奏も勇壮だった。相本社祭典委員会に招かれて参加した木やり師の今井文子さん(48)=同市坂室=は「昨年、災害を経験した高部の皆さんにこれからも元気で頑張ってほしいという思いを込めて木やりをさせてもらった」と語った。
同祭典委の今野政次郎委員長(58)は区民が楽しそうに曳く姿を振り返り「災害を含め、前回の御柱祭から本当にいろいろなことがあった。当たり前に行ってきたことがどれだけありがたかったのかを感じた今回の御柱祭だった」と話していた。
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