JR茅野駅前ビル「ベルビア」内の土産物店。店内にチラシを張って御柱祭をPRしている
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて諏訪大社御柱祭山出しの曳行が車両による運搬になり、曳行路に近い土産物店や店舗などでの来訪者の受け入れ準備に影響を与えている。大勢の氏子や一般客の来訪が見込めなくなり、「にぎわいがなくなって寂しい」。長野県茅野市は山出しルート沿いでの仮設トイレ設置を取りやめると決めた。
「山出し期間はお客さんが多かったのですごく残念」。JR茅野駅前ビル・ベルビア内の土産物店「山のおみやげ店」の店長の女性は肩を落とす。同市宮川の木落し公園は歩いて行ける距離にあり、駅利用者が帰り際に店に立ち寄るという。今回、大勢の人出は見込めそうにないが、関連するポスターを張り、テレビモニターを置く御柱祭のコーナーは予定通り設置する計画だ。「何もやらないのは寂しい。着々と準備します」と話した。
同駅近くのちのステーションホテルは、曳行方法が正式発表されるまでは山出し期間の宿泊予約を受けていなかったという。「上社、下社の山出しの2週にわたって宿泊が考えられたので残念」。市内の別のホテルも団体客のキャンセルが出ているという。
抽籤式で本宮一を授かった同市玉川地区。穴山の曳行路沿いに店舗を構える両角仏壇社長の両角匠一さん(69)は「にぎわいがなくなり寂しい」とする。これまで事前に御柱祭用の皿やとっくりなどを蔵から出して準備。当日は振る舞い酒や豚汁、コーヒー、お茶などを用意して曳き子らが集う「ご縁の場」にもなっていた。コロナで飲食物は提供できないと予想していたが、曳行中止となり、「会える機会が遠のいた。『祭りのあとの寂しさ』という感じ」と話した。
茅野市は山出し、里曳きで市内に計33カ所の仮設トイレを設置する予定だったが、山出し区間の計25カ所は取りやめる。山出しの終点となる同市安国寺の御柱屋敷周辺のほか、諏訪市境までの里曳き区間の計8カ所には設置を予定している。経費2700万円を盛った補正予算が昨年の市議会9月定例会で可決されているが、一部不用額として計上する見通しだ。
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