山本涼太選手 2021年夏
北京オリンピックのノルディック複合団体でアンカーを務めた山本涼太選手。父親も複合の元選手で、5年前に50歳で亡くなりました。今回の銅メダルは、亡き父に捧げるメダルとなりました。
28年ぶりにメダルを獲得したノルディック複合団体。
山本涼太選手：
「まずは父親に報告したいです」
アンカーを務めた木島平村出身の山本涼太選手にとって亡き父に捧げる銅メダルとなりました。
山本選手の父親・直鋭さんは、複合の日本選手権で2度優勝した元選手です。長野オリンピック出場を目指しましたが、叶わず1996年に引退。その後、木島平村でジュニアの育成に力を注いできました。
涼太選手の父・山本直鋭さん（当時）：
「スキーで活躍できる選手をつくりたい」
山本選手も直鋭さんの指導を受けてきました。しかし、直鋭さんは5年前に50歳で亡くなりました。
山本涼太選手：
「父親ができなかったこと（五輪出場）を成すつもりでやってきた。父親を超えるという面で考えると五輪出場して、よりよい結果を残すというのが自分の中で一区切りかなと思います」
亡き父の思いとともに…。
そんな山本選手を支えてきたのが、所属先の長野日野自動車です。アスリートが所属先を決めるのも一苦労な時代ですが、「地域貢献」の一環として大学卒業後に山本選手を受け入れ、競技に専念できる環境を整えました。
山本涼太選手（当時）：
「ここが採用していなければ、もしかしたら競技をしていなかったかもしれない。五輪で金メダルをというのがずっと思ってきたことなので、それを獲得して恩返しができたらいいかなと」
北京で大ジャンプを見せた山本選手。後半のクロスカントリーではアンカーを任されました。渡部暁斗選手から2位でバトンを渡されると、懸命に強豪選手にくらいつきます。
山本涼太選手：
「とりあえず表彰台に先輩方を上げたいという気持ちが先走っていた」
そして悲願のメダルを獲得。
所属先の長野日野自動車でも、同僚たちがメダル獲得に喜びを爆発させました。
「万歳！万歳！」
上司：
「感動しましたね。最後の最後まで力を出し切った感じがした」
同僚：
「同じ職場にメダリストがいるのは誇らしい。『がんばったね』と帰ってきたら伝えたい」
山本涼太選手：
「まずは父親に報告したいです」
山本選手が父・直鋭さんと通っていた木島平村のステーキ店「デンバー」。メダル獲得を祝う張り紙を飾りました。
デンバー店主・三井喜美雄さん：
「（父に）恩返しできたんじゃないですか、十分すぎるほど。（最後は）お父さんが押してくれたのかな。『今度は違う色にしろよ、涼太』そんなことを思っているのでは。これで満足するな、みたいな」
次世代エースに成長した山本選手。多くの支援を受け、父親が立てなかったオリンピックの舞台で躍動しました。
長野放送[/MARKOVE]
