松澤宥さんの作品や関連資料を多数展示している諏訪湖博物館・赤彦記念館の特別展示室
生涯、長野県下諏訪町を拠点に芸術活動をし、日本のコンセプチュアルアート(観念アート)に多大な影響を与えた故松澤宥さん(1922~2006年)の作品などを集めた企画展「松澤宥生誕100年祭-アートの歴史を変えた諏訪人」が29日、同町の諏訪湖博物館・赤彦記念館で開幕した。絵画や言語作品、関連資料、年表など多数を展示。松澤さんの生涯を振り返りつつ、美術界に残した功績を顕彰している。3月21日まで。
松澤さんは早稲田大学在学中に詩作を始め、卒業後に美術の世界に転身。1964年に「オブジェを消せ」と啓示を受けたといい、以降観念芸術に没頭。コンセプチュアルアートの日本第一人者として独特のアプローチから新境地を切り開き、「消滅」をキーワードに、記された言葉やそれを読み上げる儀式自体を作品として発表した。
企画展は、諏訪地方の信仰史、民俗学などを研究するスワニミズムの美術部を中心とした実行委員会(林聡一実行委員長)が企画。松澤さんの作品を管理する一般財団法人「松澤宥プサイ(ψ)の部屋」や県立美術館などの協力を得た。
特別展示室では、松澤さんが若い頃に描いた絵画21点を中心に、言語作品やパフォーマンスの写真、作品に関連するさまざまな資料や遺物などを展示。長年公開されてこなかった貴重な品や初公開作品も多いという。
このほか講堂には、作品が残されたままになっていたころの松澤さんの伝説のアトリエ「プサイの部屋」の写真を展示し、映像も上映。1階段ロビーには長さ20メートルにも及ぶ巨大文字作品「消滅の幟」(レプリカ)も掲げられている。
同実行委は「20世紀の日本現代アートをけん引した一人で、一流アートを世界に発信し続けた偉大なアーティスト。ローカルかつグローバルに人生を全力で肯定的に生きた松澤さんに何かを学んでほしい」と話している。
月曜休館。午前9時~午後5時。入館料大人350円。問い合わせは同館(電話0266・27・1627)へ。
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