打ち上げが予定されている超小型人工衛星をほぼ完成させた駒ケ根工業高校の生徒たち
人工衛星の製作に取り組んできた長野県の駒ケ根工業高校機械科3年の生徒有志6人が18日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のロケットに搭載予定の超小型人工衛星をほぼ完成させたと、同校の全校課題研究発表会で報告した。打ち上げが実現すれば、国内の高校生としては初の快挙とされる。これまでに磨いてきた加工技術で、精度の高いパーツを製作した高校生たちは「念願がかない、達成感でいっぱい。打ち上げが成功してほしい」と心を躍らせている。
同校では、3年生が取り組む課題研究の一つに人工衛星を取り上げている。ここ5年間、希望者たちが製作に携わり、ノウハウを蓄積してきた。今年、国内の大学からの提案を受け、宇宙でさまざまな実証実験を行うプロジェクトに参画することに。降って湧いた吉報に喜び勇んだ6人。衛星が稼働するためのプログラムや衛星本体の製作などについて、地元の企業や県内外の教育機関の協力を得ながら、製作を進めてきた。
人工衛星は材質が定められたアルミニウム製で、大きさは10立方センチ。昨年6月ごろから試作品を作り始め、9月ごろに本番用の製作に取り掛かった。衛星本体を覆うパネルや支柱となるサイドポール、LED回路の製作などに取り組んだ。
「加工には0.1ミリ単位の精度が大切で、何度も失敗を繰り返した」と3年生。指導した林厚志教諭は「人工衛星の動作の信頼性を保つため、部品加工や組み立てで精度の高さが問われたが、生徒たちはやってのけた」と胸を張る。完成品は、振動試験や衝撃試験などを突破。今後は親衛星に取り付けた状態での試験などに臨む予定だという。
宇宙では、LEDの点滅によるモールス信号で「日本の高校生です」と地球に向けてメッセージを発信する予定。リーダーの氣賀澤颯さんは「大変だったけれど、さまざまな人たちの協力で、ここまでこれた」と感謝し、「打ち上げが成功してほしい」と願った。宇宙について学習するために2年前にオーストラリアに行ったことのある武藤太郎さんは「宇宙に憧れがあっただけに達成感でいっぱい。今後の人生の励みになる」と満面の笑みを浮かべた。
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