原村にある築39年の建物のリノベーションで、こてを使って壁一面に中塗り土を施す参加者
長野県原村の有志でつくる「自立する美しい村研究会」と、村内に八ケ岳営業所を置く工務店アトリエデフは21日、原村原山で土壁塗りのワークショップを開いた。地元の不動産業者が取得し、今後賃貸物件にする建物に集まり、会員と社員で荒壁土を下塗りしたリビングの壁に中塗り土を施した。環境や暮らしに優しい100%自然素材の土壁の魅力を広げ、「再興」させたいという。
研究会は7月、アトリエデフの大井明弘社長を講師に招き、循環型の家づくりや同社の環境保全活動を学んだ。これを機に不動産業を営む会員が築39年の旧別荘のリノベーション(改修)で自然素材の活用を決め、同社との協働で土壁の良さを体感する機会も設けた。
10月下旬に1回目の作業を行い、無農薬栽培のわらを混ぜてこねた同社製の荒壁土を塗り上げた。21日はその上に中塗り土を塗る作業。こてを動かしてやや厚めに塗り、その後仕上げの中塗りをした。
「大変で難しいですが、案外楽しい」「懐かしさを感じます」と会員たち。正確でスピード感あふれる左官職人の技も間近で見て、「同じ作業をしているとは思えない」と驚きの声を上げた。今後しっくいを塗って仕上げる。
今回の改修では同社で使用する木の断熱材「ウッドファイバー」も活用している。大井社長は「冬は土鍋のように熱をため、夏は蔵のように空冷効果を発揮する」と、先人の知恵が詰まった土壁の魅力について説明。「解体が必要になった時も自然素材であれば自然に還る」とし、「良さを伝えて土壁需要を再び高めるとともに、荒壁土だけでなく中塗り土を作る技術を当社で習得し、土壁を継承していきたい」と話している。
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