歌舞伎の代表的なくまどりメーク「筋隈」を体験する参加者
長野県伊那市長谷の中尾地区に伝わる市無形民俗文化財、中尾歌舞伎の「歌舞伎なりきり体験」が3日、中尾座で開かれた。長野伊那谷観光局、南信州観光公社、木曽観光連盟の3団体が連携して進める地域振興事業の一つ「ファムトリップ(事業者向けツアー)」の一環で開催。中京圏の旅行会社やメディア関係者ら5人が、歌舞伎独特の化粧「くまどり」のメークを体験したり、衣装を試着したりした。
ツアーは2地域ごとの組み合わせで、参加者を変えながら3回実施する予定。1回目の今回は中尾歌舞伎を組み入れ、1泊2日の日程で上伊那・木曽コースを巡った。
参加者は、激しい怒りや超人的な強さを持つ者の役に用いられる歌舞伎の代表的なくまどり「筋隈」の化粧を体験した。顔を洗い準備を整えると、中尾歌舞伎保存会の化粧担当者らの指導で、見本を見ながら挑戦。スティック状のドーランで顔全体を白く塗り、その上に筆を使って赤と黒の顔料で鼻筋や額、眉毛などを跳ね上げるように隈を取った。
初めての経験に苦戦しながらも化粧を完成させた参加者は、公演で実際に使用する衣装を身に着けて写真撮影。最後はくまどりを布に押し当てて写し取る「押隈」も体験した。
名古屋市内の旅行代理店から研修で参加した日高紗希さん(23)は「赤と黒の線を描くのが難しかったけれど、塗り始めると楽しくできた。何も知らない地域の文化を知り、雰囲気を味わえて新鮮だった」と話していた。
同観光局(事務局・上伊那広域連合内)の江橋秀久事務局長は「地域を知ってもらい観光資源を磨き上げるため、広い地域で連携して宣伝を行い、観光造成につながれば」と期待した。
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