駒ケ岳では、北アルプスから飛来したと推定される雌1羽が2018年に確認されたことから、同省はライチョウの生息数を増やす保護増殖事業に取り組んでいる。20年には、北ア乗鞍岳から3家族19羽を駒ケ岳に移送し、18年に飛来した雌を含む18羽が冬を越えた。7月には、半世紀ぶりに一夫二妻2組を含む10組の繁殖を確認。このうち駒ケ岳周辺で発見された5家族を、ひなを外敵や低温などから守るケージで保護してきた。
ひなはふ化から1カ月が経ち、体重150グラムほどに成長。羽根のDNA鑑定を行い、ひなの雌雄状況などを考慮して2家族を選定した。ケージ保護を行っていたほかの3家族は、2日までに全て放鳥したという。
移送はヘリコプターと車を使って行った。2家族を乗せたヘリは、悪天候により予定より1時間30分ほど遅れて中ア頂上山荘を出発。午前8時すぎに長野市内のヘリポートに着陸して1家族4羽を車に移し、もう1家族を那須に運んだ。 両園では中アと同じケージに入れて様子を見ているが、両家族とも落ち着いているという。
復活作戦を指揮する中村浩志信州大学名誉教授(74)は「家族を無事に運ぶことができ、計画が60%ほどまで進んだのでは」と手応えを口にした。未知の取り組みで、課題も多いが「地元の期待も大きく、期待に応えられるよう取り組みたい」と語った。
来年中にも、両園の雄同士を交換して繁殖を行い、生まれた家族を中アに戻す予定。両園とも雌のひなが多いが、ほかの園の雄を移すなどして対応していくとしている。[/MARKOVE]