再稼働したガラス炉
信州諏訪ガラスの里は23日、活動を停止していたガラス炉を11年ぶりに再稼働させる火入れ式を長野県諏訪市豊田のSUWAガラスの里で行った。市内の観光業者ら約30人が出席。神事で稼働中の安全を祈願した。停止前のガラス炉は工芸作家の工房として使用していたが、今後はガラスの地産地消やガラスの再資源化を目指す研究・開発を行うラボとして生まれ変わる。
ガラス工房は作家たちが工芸作品を制作し同施設で販売していたが、採算が合わず2012年5月末で閉鎖。以来、ガラス炉は使われていなかった。AGC(旧旭硝子・横浜市)技術本部企画部プロダクトマネジャーの中川浩司さんが昨年、同施設を訪れた際にガラス炉を見学し再稼働を提案。各地の鉱物からガラスを制作している海馬ガラス工房(仙台市)代表の村山耕二さんに協力を求めた。今年2月には村山さんの指導で諏訪湖の湖底に堆積していた砂からガラスを制作している。
ガラス炉は3日間焼き締めてから本格稼働する予定で、村山さんが中心となり1カ月間、諏訪湖の砂を原料にしたガラスの耐久性などの研究や廃ガラスを原料にしたガラス製品の開発を行う。
中川さんは「AGCの大規模な施設では研究開発は難しい。融通の利くガラスの里のラボでさまざまな研究をして、AGCにフィードバックしてほしい」と期待。村山さんは「諏訪湖は糸魚川―静岡構造線と中央構造線が交わり地質学的にも魅力的な地。地域の特性を 持ったモノを生み出したい」と決意を述べた。
ガラスの里の岩波尚宏会長は「廃棄されるガラスは99%が埋没処理され、再利用されるのはわずか1%。循環型社会を目指して、ガラスの里を”ガラスが戻ってくる里”にしたい」と話した。
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