リニア中央新幹線事業について話し合った関係市町村長とJR東海の意見交換会=県飯田合同庁舎
リニア中央新幹線事業を進めるJR東海と関係市町村長の意見交換会が21日、長野県飯田市の県飯田合同庁舎であった。出席したJRの宇野護副社長は、南アルプストンネルの工事が静岡工区(静岡県)で未着工になっている問題に触れ「開業時期は現時点で何年と申し上げる状況にない」とする一方、「今工事をすれば当初計画の2027年の開業に間に合う」とした20年6月のJR社長と静岡県知事の会談を挙げ、「その後、工事が進んでいない期間分、開業が遅れる」という見解を示唆した。
意見交換会は県の主催で8回目。県、JRのほか、飯田下伊那14市町村と南木曽町、中川村の首長が出席した。
開業時期は、飯田市の佐藤健市長が「何らかのめどを伝えてもらえば、地元は地域づくりや企業誘致に役立つ」と質問。これに対し、宇野副社長は「開業時期へのご心配は十分承知している」とした上で「静岡県に協力を求めた経過はあるが、それ以降工事が進んでいないのは事実。できるだけ早い着手に向けて努力する」と理解を求めた。
意見交換は環境保全や発生土、工事車両と安全対策、地元への情報提供などをテーマに実施。現在、下伊那郡大鹿村内で本坑掘削が続く南アトンネルなどの発生土について宇野副社長は「現況で置き場18カ所が決まった」とし、「それ以外にも公共事業での活用を含め、約30カ所で調整中」と述べた。
このうち、県道拡幅や低地のかさ上げなどに発生土を用いる中川村の宮下健彦村長は「盛り土は安全性が問題になる。発生土の使用についてはJR東海が住民へ十分な説明を行い、未来永劫にわたる安心と安全を確約してほしい」と述べた。
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