選考委員会(高橋龍三郎委員長、12人)は同日、諏訪市公民館で開き、全国の推薦委員から推薦された個人12人を受賞候補者として審査し、「研究成果、市民との連携や普及活動ともに甲乙つけがたい」として、2人の受賞を決めた。同賞の複数同時受賞は3年連続8回目。
藤森さんは栃原岩陰遺跡の総括報告書を刊行する傍ら、「信州の縄文時代が実はすごかったという本」も出版し、県内の縄文文化を国内外に広く発信。大学の垣根を越えて考古学を学ぶ多くの学生を育成し、埋蔵文化財の専門職に送り出している。藤森さんは受賞の知らせに、「教育委員会の仕事と文化財研究の両立は難しかった。長年の研究が認められてうれしい。これからも地道に調査研究を続けたい」と話した。
原田さんは東海地方を代表する弥生時代の集落、朝日遺跡の保護・普及啓発事業に関わり、同遺跡出土品の重要文化財指定、貝殻山貝塚(史跡)の再整備、遺跡ミュージアムの整備事業で主導的な役割を果たした。石器使用痕研究では弥生時代の石製農具の組み合わせを明らかにし、そのフィールドは国内だけでなく、朝鮮半島や中国にも及んだ。原田さんは「伝統ある考古学賞を受賞できて光栄。引き続き調査研究を進め、弥生時代を明らかにしていきたい」と受賞の喜びを語った。
表彰式は今秋に県考古学会秋季大会で行われる予定。[/MARKOVE]