穴倉運営委員の手ほどきで、手間のかかるスリッパ型の布草履もマスターした浜原さん夫妻(右側の2人)
かやぶき屋根にいろりで知られる長野県茅野市泉野の農閑期の作業場「穴倉」が、田舎暮らしに憧れる人たちの楽しみな場所として人気を呼んでいる。現在は地元のお年寄りたちが布草履を作っている。原村室内と千葉県船橋市で2拠点生活を送る会社員の浜原昇さん(61)、恵子さん(61)夫妻は19日まで3日間、お昼持参で通い、鼻緒型とスリッパ型を合わせて6足作るほど熱中した。「来年はわら細工を」と夢は膨らむ。
浜原さん夫妻は同村に家を建てて6年目。3年前からは大豆を栽培しみそも手造りする。いろいろ構想は膨らみ、昇さんが退職して、2人して田舎暮しを満喫する日を楽しみにしている。穴倉には、草履が作りたくて、近所に住む元農協職員の坂本良子さん=同村=の紹介でコロナ禍前に一度訪問したが、混んでいたため断念し、やっと念願がかなった。
作り方を教えてくれたのは、穴倉運営委員会の平澤治委員長と佐藤袈裟一さん、三浦修さん。鼻緒タイプの草履は、専用の木製の台を使い、樹脂製ロープを芯に、布団地などを裂いたひもをくぐらせながら編んでいく。最初の一日で2足ずつ仕上げ、早速、家で風呂上りに履いてみると、とても気持ちよかったという。
スリッパ型は、編み目を調整しながら甲の部分の曲線をつくるため初心者には難しいというが、浜原さん夫妻は2日かけて1足ずつ作った。やっと出来上がってから内側を見ると、失敗箇所を見つけるも「それもご愛嬌」と、いろり端に笑いが起きた。浜原さんは「ほどいてやり直します」と意欲満々で「指先も頭も使い、要らなくなった布を再利するすてきな草履。何より、いろりを囲んだのどかな雰囲気が最高」とうれしそうに話した。
お年寄りらは「大勢体験に来るが、一番のみ込みが早い」と褒めていた。
穴倉の開場は3月中旬まで。問い合わせは泉野地区コミュニティセンター(電話0266・70・1606)へ。
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